原発損害賠償・精神的損害について

原発事故による損害賠償について国は中間指針という目安を作りました。その中の精神的損害(避難生活を余儀なくされたこと)について、
①対象区域から避難した場合
 第1期(平成23年3月11日以降) 1人月額10万円(避難所等は1人月額12万円)
 第2期(第1期から6か月以降) 1人月額5万円
 第3期(第2期から6か月以降) 未定
②屋内待避区域にて屋内待避した場合
 1人10万円
という目安が作られています。
さて、皆さんはこれに納得できますか?
思い返しましょう。
3.11。原発の冷却ができない、燃料棒が露出した、温度が上昇する、そして水素爆発が起こった各種報道。逃げるために必死でした。とりあえず持てるものをもって避難するしかありませんでした。避難するにもあちらこちらに渋滞が起き、少し移動するだけでも何時間もかかりました。そして、故郷を奪われました。今まで安住の地として、終の住処として、地域のかけがいのないコミュニティーがそこにはありました。ところが、それは原発事故のせいで、一瞬にして奪われました。帰りたくても帰ることができない。戻りたくても戻ることができない。もう戻れないかもしれない、帰れないかもしれない。
これを一体どうやって慰謝できましょうか?こんなわずかな金額で納得しなければならないのでしょうか?国は怪我を負っていないからとして最低限の自賠責の基準を参考にしたそうですが、そんな最低限の基準などを参考にするなんて許せるでしょうか?しかも、日数が経てば減額されますが、むしろ帰れないという不安が日増しに強くなっていき減額されるなんておかしいのではないでしょうか?国は、国の負担をなくすために、第一に東電に支払わせるべく、賠償額を少しでも抑えたいからこんなあり得ない基準にしたのです。納得できるでしょうか?
さて、東電に対して請求する主な方法としては、
①東電に対する直接請求
②原子力損害賠償紛争解決センターへの申立て(話し合い)
③裁判
④国の仮払い(現在は対象外です)
があります。
①から③については、一部のみ賠償してもらうことも可能です。つまり、精神的損害のみを除いて賠償してもらうことも可能なのです。どれが一番いいかは、時間と費用との兼ね合いがあり、なかなかに難しい選択です。報道によれば②への申立てが殺到しているとのこと(手数料自体は無料です)。
ただし、あとで絶対に後悔しないことが大事です。目先のお金につられずに自ら納得のできる解決をすることが重要です。面倒なんて言っていられません。もしも判断に困ったら、最寄りの弁護士会・弁護士などに気軽に問い合わせて下さい。

カテゴリー: 東電賠償