東京電力の今後の賠償の取扱については、「【まとめ】東京電力の営業損害の取扱いの概要について(平成27年3月以降)」にて記載しました。
もそも、原子力損害賠償紛争審査会が示した「中間指針第二次追補」においては、営業損害に係る賠償終期について「被害者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日」を賠償の終期とすることが明示されており、福島県商工会連合会の調べでは、避難指示区域内に所在した商工会会員の事業再開率は約53%、地元での事業再開率は約15%にとどまっており(2014(平成26)年1月20日現在)、「被害者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能」な状況になどないことは明らかです。
また、避難指示区域外においても、いわゆる「自主的避難」や風評被害の継続による商圏の縮小・喪失などが継続しており、「被害者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能」な状況は、一部にとどまっているにすぎません。
そもそも、原発事故により明らかになったように、原発事故による被害は、地域汚染が続く限り継続するという性質を持っており、被害者が事故前と同等の生活や事故前の生業を回復するには長い期間を要します。原子力発電を国策として推進してきた国及び事業者である東京電力は、原発事故による被害の回復に責任を負うのであって、その責任を直視せず、賠償を拙速に収束させようとすることは、到底許されないのです。
東京電力に対し、少なくとも当面の間、従前の方式による営業損害の賠償を継続させるとともに、ADRの申立てをすることによって原発事故による被害が継続している実態を説明し賠償を求めていくことが必要です。
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