Q.原発事故によって高齢の親が避難を余儀なくされ、避難の途中に死亡しました。東京電力に賠償請求をしましたが、その提示された金額に納得できません。
A.東京電力は賠償の算出について自賠責基準を用いています。自賠責基準は交通事故ですと最低限度の基準にすぎず、一般的に任意保険会社や弁護士基準よりも低額です。
また、東京電力は遺族の同意を得て、死亡診断書を作成した医師に、避難がどの程度の割合で死亡に寄与したのかを照会していますが、その照会結果が金額に大きく影響します。そのため、東京電力から医療照会の結果を取り寄せてその内容をチェックすることが必要不可欠です。
Q.旧警戒区域内の財物賠償に注意点はありますか?
A.既に東京電力株式会社から発送されています。
なお、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)を利用した和解仲介手続では、既に東京電力から不動産を含む財物賠償が支払われているケースがあります。ADRでの財物賠償の取扱いについて、まずは経済産業省や東京電力株式会社が示した基準に基づいた支払いがなされていますが、後で基準等が変更された場合などに備えて追加請求をすることができる余地を残した合意が可能です。
Q.既に亡くなった親の代から不動産の登記手続をしていませんが、不動産賠償は受けられますか?
A.登記名義と実際の所有者が異なり、不動産の登記名義人が亡くなっている場合には、戸籍謄本等でもって登記名義人の相続人であることが分かる書類の提出が必要になります。一般に、相続人であることが分かれば登記手続まで要求されるとは考えられません(当初の段階として、東京電力は相続登記を要求しています)。ただし、相続人の間で遺産分割協議をすることが必要になるケースも考えられます。