最近、東京財団の上席研究員である石川和男氏にて、
との論考が公表されました。
被災地の現状はまさにこのとおりです。
ある雑誌の投稿にて私的整理ガイドラインの運営側の弁護士が、金融機関も被災しているのだから、公平・公正に処理されるべきだと言っておりました。
何をもって公平・公正というのでしょう?
しかし、それは、被災者に直接向き合っていない人間の言うことです。
そもそも、金融機関は、金融のプロです。だから、当然のように不動産を担保に取っています。
金融機関が担保に取っていた不動産が津波によって毀損したリスクは金融機関が負うべきです。
被災者は、何か無理に借金をしたわけでもなく、事業に失敗したわけでもなく、ただ天災である地震・津波によって、
一瞬にして自宅がのみこまれ、生活の拠点を失ったのです。
その上、金融機関には、被災者の資金である義援金や生活再建支援金から、ローンの返済に廻させているのが現実です。
返済に廻ったそれらのお金は、いざ私的整理ガイドラインを利用しようとしても考慮されません。
さらに、私的整理ガイドライン自体も公的な資金が投入されています。
その公的な資金が投入された制度の下で、金融機関が自己に有利に利益ばかりを追求し、
被災者救済をないがしろにする姿勢は、本当に公平・公正でしょうか?
妥協の産物でできた金融機関を優遇するだけの私的整理ガイドラインなど要りません。
ただひとつ、現状の私的整理ガイドラインで苦しむのは被災者です。