東電は公約違反を犯しました。
紛争解決センターから提示のあった和解案につき、東電が不動産の価値の一部分を認めた点は別として、
その他の慰謝料の増額を拒否し、仮払金の精算を求めるなど、
我々被害者にとって重要な項目について、ことごとく拒絶してきました。
拒絶した理由などありません。
一体、「実務の影響」って何でしょう?
加害者のご都合主義がよく現れているのではないでしょうか?
東電は紛争解決センターの和解案を尊重すると公約していました。
東電の拒絶回答はこの公約をいきなり真っ向から破るものです。
東電には、しょせん加害者の意識などないのでしょう。
東電はいかに損害を損害でないといい、賠償額を少なくさせ、早めに賠償を打ち切るか
だけを考えて、少しでも持ち出しを少なくさせる意図しかありません。
東電に対して、徹底的に抗議するとともに、徹底的に闘うしかありません。
以下は、東京の被災者弁護団の抗議文を引用したものです。
http://ghb-law.net/?p=199
・・・引用・・・
平成24年1月26日
ADR1号事件の和解案に対する
東京電力の回答への抗議
東日本大震災による原発被災者弁護団
本日(平成24年1月26日),当弁護団が平成23年9月1日に原子力損害賠償紛争解決センターに申立てた1号事件につき,同センターの仲介委員が示した和解案に対して,東京電力が回答を行いました。
東京電力の回答は,仲介委員の示した和解案のうち,財産価値の減少等に対する賠償等,一部については受け入れる姿勢を見せながら,慰謝料の増額を拒否し,仮払い補償金との精算を求め,センターがあえて設定しなかった精算条項の明記を求めるなど,被災者にとって重要な条項について和解案を尊重せず,原子力賠償紛争解決制度を骨抜きにしようとするものです。
当弁護団は,被災者にとって全く不十分な内容であり,かつ重大な問題を含む東京電力の回答に対し,次のとおり,強く抗議をするものです。
1, 仲介委員の和解案について
当弁護団は,平成23年9月1日,原子力損害賠償紛争解決センターに対して,第1号事件を申立てておりましたが,同センターの仲介委員は,同年12月27日,同事件について,和解案を提示しました。
この和解案は,当弁護団が同年12月30日に声明文を出しているとおり,東京電力が頑なに評価を拒んできた不動産を含む財物喪失分の損害の賠償を行うべきとしていること,中間指針で示されたもの以上の慰謝料額を提示していること,仮払金は最終的な損害が確定するまで清算しないとすることなど,申立人である被災者の主張を一定程度受け入れるものとなっていました。また,合意も内払いを前提とするなど,未だ避難を続けている被災者の不安定な地位に配慮していました。
そのため,当弁護団は,この和解案について一定の評価をするとともに,本年1月23日,原子力損害賠償紛争解決センターに対し,本和解案を受諾する旨伝えていたところです。
2, 東京電力の回答について
一方,東京電力は,本日(平成24年1月26日),上記和解案について,おおむね次のとおりの回答を行いました。
① 不動産を含む財物損失については受諾する。但し,財産価値の減少等に関しては,各費目につき和解案に記載された損害額を超える債務がない旨の確認(精算条項)を求める。
② 慰謝料額につき,中間指針の基準を超える増額分については拒絶する。
③ 仮払い補償金160万円を本件の和解時に清算しないことを拒絶する。
④ 上記②と③受け入れることのできない理由は,中間指針の趣旨及び被申立人が既に実施している本賠償の実務への影響による。
⑤ それ以外については,和解案通り受諾する。
この回答は,和解案の一部について受諾する姿勢を示しながら,慰謝料や仮払い補償金など被災者にとって重要な点について,これを拒絶する態度を示したものというべきです。
すなわち,東京電力は,この回答により,中間指針を超えて提示された慰謝料について,その支払いを拒みました。
また,東京電力は,損害が最終的に確定した際に清算すべきと提示された仮払い補償金との精算についても,仲介委員の和解案を拒絶して,直ちに清算を求めました。
建物,家具等の財産価値の減少等の賠償についても,仲介委員が損害の一部の内払いとして和解金額を提示したにもかかわらず,東京電力は,損害の全部として(それ以上の賠償には応じられないものとして)受け入れるという姿勢を示したにすぎません。
そもそも,この回答は,昨年9月1日に申立を行って以降,期日が重ねられた結果として仲介委員が示した和解案を拒絶する内容であり,原子力損害賠償解決制度そのものの意義を没却しかねない内容というべきです。
さらには,受け入れることのできない理由として,「実務への影響」を挙げる点は,被災者救済とは全く関係がない東京電力側の都合を挙げるものであり,承服することができません。
3, 東京電力に対する抗議
当弁護団は,仲介委員の示した和解案は,十分な内容ではないと考えています。しかしながら,早期の被害回復,申立人の生活再建を考慮し,また財物価値の減少等について内払いとし,精算条項を設けない内容の和解案であったことから,本件については,仲介委員の和解案をやむを得ず受け入れる方針を固めたところです。
一方,東京電力は,仲介委員の和解案を尊重することなく,実質的にこれを骨抜きにする内容の回答を行いました。
東京電力は,平成23年10月28日付「特別事業計画」において,和解仲介案の尊重を約束しています。しかし,この約束は,全く反故にされているというほかありません。
当弁護団は,本日の東京電力の回答に対し強く抗議するとともに,原発事故被災者の生活再建を阻害する態度を直ちに改め,仲介委員の示した和解案を尊重し,その全ての条項を受諾することを求めるものであります。
以上
・・・引用終わり・・・