東電賠償の時効消滅をすすめる特例法案

東電賠償の消滅時効が迫る中で、政府は、今国会で東電の賠償に関する時効を防ぐ特例法を成立させようとしている。

平成25年4月17日付け福島民友ニュースでは、その内容が

http://www.minyu-net.com/news/news/0417/news8.html

和解仲介申し立てが前提 時効特例法案の概要

東京電力福島第1原発事故に伴う損害賠償の和解仲介手続き中に民法で定めた請求期限の3年を過ぎても権利が消失しないよう、政府が今国会で提出を検討している特例法案の概要が16日、分かった。和解仲介の打ち切り通知から1カ月以内に裁判所に訴訟を起こせば、和解仲介の申し立て時に提訴したとみなし、賠償請求権の消滅を防ぐ方向で調整が進んでいる。ただ、法案は和解仲介を申し立てた場合のみ想定し、来年3月11日までに和解仲介制度を利用しない人は救済されないため、時効の撤廃を含め救済対象の拡大が課題として残る。  2011(平成23)年3月11日に発生した原発事故の賠償請求権は、民法では3年が経過した14年3月11日で権利が消滅する。検討中の法案では、これより前に原子力損害賠償紛争解決センターへ和解仲介を申し立てていれば、仮に時効の時期を過ぎてから和解仲介が打ち切りに終わっても、申し立てた時点にさかのぼって訴訟を起こしたとみなされ、時効は成立しない。ただし、和解仲介打ち切りから1カ月以内に提訴する必要があり、それを過ぎれば時効が成立する制度になる見通しだ。

と報じられており、紛争解決センターへ申立てをしていることが必要条件となっている。

そして、和解打ち切りとなった場合には、1ヶ月以内に裁判所へ提訴する必要がある。

なぜわざわざ紛争解決センターへ申し立てないといけないのだろうか、

しかも、打ち切りとなった場合には、1ヶ月以内に裁判所へ裁判を提起する必要があると、

極端に被害者にとってハードルが上がるものである。

紛争解決センターを利用しない者は救わないという考えなのだろうか?

しかし、紛争解決センター自体、平均審理期間が8ヶ月もかかり、

終わっていない案件も申立件数の半分程度の3000件程度ある中で、

当初の構想とはかけ離れ、利用した被害者も待たざるを得ないというさらなる被害を被っている現状にある。

時効を防ぐため、そのような欠陥のある紛争解決センターを使えと無理強いすることは、被害者にさらなる負担をかけるものである。

しかも、打ち切りとなれば、1ヶ月以内という短期間に裁判所に訴えを提起せざるを得ない。

紛争解決センターとは異なり、裁判となれば被害者において逐一裏付けをせざるを得なくなって被害者に多大な負担がかかるものである。

まして、裁判手続など利用したことがない被害者は多く、前提として弁護士へのアクセスの点でも多くの問題をはらんでいる。

このようにこの特例法案には重大な『欠陥』がある。

それは政府の責任を避けようとする態度の表れではないか?

東電賠償を時効で消滅させようとするのがこの法案である。

そのような被害者を置き去りとすることが一体許されるだろうか。

この法案には非常に大きな危機感をもたなければならない。

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