大熊町の玉の湯温泉の思い出

福島県双葉郡大熊町、熊川の源流に位置しています。

そこには、周囲が山々に囲まれ、皮膚の名湯でアトピーが治ると有名であって、四百年の歴史があり、相馬藩の御殿湯だったという「玉の湯温泉」がありました。

自分が初めて行ったのは妻とともに。

無色透明のお湯ですが、アルカリ性のお湯で肌がしっとりするのです。

入っては風呂場の縁に座り長湯していました。

外を見れば緑あふれる景色で、山の稜線も見えていました。

男湯と女湯と天井が繋がっているので、妻に「もうあがるよ」と声をかけていたな。

初夏は青々と木々が茂り、夏はひぐらしが鳴いて郷愁を誘い、冬は雪なんてあまり降らないから問題なし。

あちらこちらからの日帰りのお客さんでにぎわっていましたし、貸し切りのときも。

お風呂上がりは趣のある立派な木の椅子に座って妻を待っていたな。

旅館を出るときにはいつも優しい女将さんが私たち夫婦に笑顔で飴を渡してくれました。

いつかは泊まってゆっくりしたいなと思っていたのですが。

浜通り北部にはあいにく温泉が少なく、温泉好きには玉の湯は絶好の場所でした。

たとえ疲れていても、週末は妻とドライブがてら、玉ノ湯に行く?と言って、片道30分以上かけては、何回も通いました。

妻も玉の湯さんがとてもお気に入りでした。とても気持ちよかったな。

もし子どもができたら一緒には入れるし、アトピーにも効くからいいなと思っていました。

それが、今は原発事故によって警戒区域と指定され、立ち入ることすらままなりません。

まして、大熊町の国道288号線沿いに位置している玉の湯近辺の放射線量は非常に厳しいものがあるでしょう。

いつかまた家族で玉の湯に行きたいな。

是非、今度は長男を連れて。


 

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